ウェイトレスさんも熱く語ろう!


その4
緊急報告
メイリッシュ吉祥寺店開店記念特別企画
バレンタインデー・男三人チョコを求めて激走百キロ

 どっから話をすればいいのかなあ。筆者のバレンタインデーを巡る印象深い思い出でも語りますか。いや、女の子出てこない話なんだけど。
 筆者の在学する大学では、民●青年同盟という代々木系(決してゼミナールでもアニメーション学院でもない)某政党の前衛組織が党員の学生を組織して学生自治会を牛耳っていたのですが、数年前に自治会長を務めていたその民主●年同盟の某氏は、同時にアニ研会員でもあったそうで。筆者はアニメは疎いのでよく知らんのですが、なんでも某氏が大学一年ごろ、当時日曜朝にやっていた『ママレードボーイ』という少女マンガ原作のアニメで、オープニングシーンにディープキスとも見えるシーンがあったことを糾弾し、「我々は日曜の朝から資本の陰謀によってかかる風紀に反した映像を見せられているのです!」と憤激していたそうです(当時のアニ研の人に聞いた話です)。で、かくの如きセンスに富んだ某氏は、様々な妖しい団体を組織運営しておりましたが、その一つに『反白色テロル大連帯』というのがありました。「白色テロル」てのは、赤色=共産主義に対する反動保守のテロルを指す言葉なんですが、この団体(個人サークル?)が非難していた「三大白色テロル」というのは、
 クリスマス・バレンタインデー・ホワイトデー
 なのであります。彼の熱い主張を『反白色テロル大連帯』のビラからお目にかけましょう。これはクリスマス前に撒かれたビラの一節です(バレンタイン前のは散逸してしまいました)。
 心に傷を持つすべての学友・人民諸君!
 今まさに諸君は国家権力の反動攻撃に直面していることを革命的に認識しなければならない! その攻撃とは何か? いうまでもなく、日帝大資本が12・24、25に向けて喧伝してきた「クリスマス」であり、それに引き続くバレンタイン、ホワイトデーである! すなわち、日帝大資本は冬の到来による心身の寒さにつけこんで「カップル」成立を煽りたて、「カップル」成立をテコ入れに種々の収奪を完遂せんとしているのだ。それが端的に現れているのが、クリスマスプレゼントであり、クリパと称する反動プチブル集会であり、ホテル産業である。
 念のために注を付けておきますと、「日帝」とは「日本帝国主義」の略で、「プチブル」とは「プチ・ブルジョア」ですんで。
 これも念のため付け加えておきますと、上記のビラは実在します。筆者の捏造ではありません。拙宅までお越し戴ければ、現物をお目にかけましょう。

 さて、長い枕でしたが、かかる資本の陰謀であるところのバレンタインデーが今年もやってまいりました。そしてT−ZONE資本が、「カップル」成立にあぶれた秋葉原系弱者(笑)その他の財布を狙って仕掛けた「メイリッシュ」なる反動攻撃? が成功したのかどうなのか、何と吉祥寺に第2号店をこの日に開くというではありませんか。吉祥寺といえば当サイトのプロデューサー・渡辺さんの地元。2号店吉祥寺開店の裏には彼の工作があったとも噂されていますが(いません)、とにかくかかる資本の攻勢に、我々はいかに立ち向かうべきでしょうか? ま、とりあえず開店見にいこーっと(桂小枝調)
 しかしかかる資本の猛攻を前に、渡辺さんと筆者の二人だけで乗り込むのはいささか心もとなくも思われました。そこで我々は強力な援軍として、以前のブロパ閉店探訪にも参加していただいた、たんび氏の出馬を乞うたのでした。氏は現在名古屋の某社に勤務しつつも、長年続けているやおい小説の研究にも余念がなく、あまりのやおい蔵書の重みに寮の床が抜けたとか基礎が傾いたとか仄聞しておりますが、さらに最近は美少女系ゲームにも強い関心をお示しのようで、『家族計画』というゲームを絶賛しておられましたが、それはともかく、幸い氏には我々の切なる要請を快く引き受けていただけ、わざわざ有給休暇を取って上京してくださったのは欣快の至りであります。 

 さて2月14日当日、午前10時吉祥寺駅集合の予定にお約束通りしっかり遅刻した筆者。しかし幸いなことに、開業日の今日は営業時間が午前12時(普段は11時だそうです)でしたので、大事には至りませんでした。たんび氏の用事を済ませてメイリッシュ吉祥寺店に到着したのは11時20分頃だったでしょうか。地元の渡辺さんの道案内のお蔭で、迷うことなくスムーズに辿り着きました。そこにはすでに二三十名もの行列ができていました。そして開店の正午までに人垣は次第にその長さを増し、五階から四階にまで伸びて行きました。平日の昼間だというのに。さすがに客層は圧倒的多数が男性でありました。
 いよいよ正午開店。吉祥寺店は広さが売りらしく、我々も無事席につくことができました。筆者は店内を見渡しやすい向きの席を占めましたが、これはかえって失敗だったかもしれません。すぐ横が厨房への出入り口なのでウェイトレスさんの出入が多く、反対向きの席の方が出入りを観察するのには適していたのです。ちなみにその向きに座っていたのはたんび氏でした。
 行列していたくらいですから店内はほぼ満席でしたが、カウンター席は空っぽでした。なんとなれば女性専用席だったからでして、とはすなわち、開店最初の客に女性一人というのは存在していなかったということです。
 開店セレモニー、というほど大げさではないですが、まず支配人の挨拶があって、そしてウェイトレスさんたちの自己紹介です(二人ほど、たまたま厨房にいてできなかった方がおられたようですが・・・)。開店らしくウェイトレスも十一名と大量動員(秋葉原は休みにしたのか?)、なかなか壮観でした。メイド服のバリエーションもこれまた豊富で、色はと黒と、スカートも長いのから短いのから、ふんわりとふくらんだボリュームあるのからタイトスカートまで、ストッキングも黒両用、足元の靴も様々。メイド服というものは、各パーツなどのバリエーションを掛け算していけば百やそこらは作れそうですね。カチューシャは共通に見えましたが(笑)。
 開店記念ということで割引クーポン付きのチラシをもらいます。バレンタインデーということでチョコレートのサービスもあります(これはお約束)。支配人の方も各テーブルを回って挨拶にみえました。
 ウェイトレスのメイドさんにお茶など注文。筆者がカモミールティーを注文すると「最初からハーブティーって通ですね」などといわれました。メニューを見て最初に飛び込んだ文字を反射的に読んだだけなんですが・・・。お茶を運ぶ帆船の話は詳しいですが、お茶自体はそんなに詳しいわけでもないのです。渡辺さんと筆者はお茶とケーキのセットを注文し、健啖家のたんび氏は腹が減っているからとビーフカレーを注文しました。
 注文が済んで、たまたま席が禁煙席ではなかったので、たんび氏は煙草を取り出して一服。たまたま店内が見渡せる席にいた筆者は、この時あることに気がつきました。他に煙草を吸っているような客は誰もいません。そう、たんび氏は
 メイリッシュ2号店喫煙者第一号
 の栄誉を獲得したのです。メイリッシュ2号店ある限り、何人もこの記録を破ることは出来ません。
 と、厨房からウェイトレスさんが出てきました。ケーキセットの準備の方が簡単そうですが、お盆に載っていたのはカレーライスです。どうも、昼食時だから食事の方が多かろう、とメイリッシュ側が準備していたのに、開店に馳せ参じたメイドスキーどもは『メイドさんといえばティーセット!』との固定観念に凝り固まり(筆者含む)、予想に外れたオーダーが多かったからではないかと推測されます。
 厨房から出てきたウェイトレスさんは、厨房からもっとも近いテーブル、とは即ち我々のテーブルにビーフカレーを置きました。注文したのはたんび氏。ここでたんび氏はまたもや新たな記録を樹立しました。
 メイリッシュ2号店オーダーが来た第一号
 この栄えある記録は、メイリッシュ2号店ある限り、破られることはありません。
 空腹のたんび氏、早速スプーンを手にカレーを一口。この瞬間、氏は更なる伝説をその輝かしい経歴に加えることになります。
 メイリッシュ2号店でものを食した第一号
 この伝説は、メイリッシュ2号店ある限り、永久に語り継がれることでしょう。
 ようやっと渡辺さんと筆者にお茶とケーキが来ました。以前秋葉原店で食したそれよりも美味なように思われました。1号店の経験をもとに改善がなされているとすれば、結構なことです。
 改善といえば、内装の点でも秋葉原店よりも改善が認められます。1号店は西側の道路に面した壁が総ガラス張りで、照明の効果もあって過剰に店内が明るくなってしまい、寒々しく感じられるという問題点がありました。吉祥寺店ではそもそも窓の少ない建物であることも与ってか、ほどほどの明るさで暖かみを出すことができています。これはくつろぐという点では非常に重要なことではないかと思われます。
 などと観察しているうちに、たんび氏は相変わらずの健啖ぶりで、カレーライスを食べ終わりました。ここでまた、氏が新たな記録を手中に収めた事が明らかになりました。
 メイリッシュ2号店完食第一号
 このような光輝に満ちた記録は、メイリッシュ2号店ある限り、後世に語り伝えられることは疑う余地を残しません。
 今日は開店だけあってウェイトレスさんも大勢、でも新規開店なものでちょっとあたふた、見ていて楽しい店内でしたが、そんなことにかまけている我々を尻目に、たんび氏はウェイトレスさんを呼び止めて水を要求しました。カレーを食べて水が飲みたくなったのでしょう。直ちにウェイトレスさんは水差しを持ってきました。この時、新たな記録が吉祥寺の街に生まれたのです。
 メイリッシュ2号店お冷やお代わり第一号
 かかる偉業は、メイリッシュ2号店ある限り、長く世上に喧伝されることは天日のように明らかであります。
 ウェイトレスさんは我々の卓上のたんび氏が食した空っぽのカレー皿に目を留めました。「お下げしてよろしいでしょうか?」その時、歴史は動きました。
 メイリッシュ2号店食器下げ第一号
 かくの如き前人未踏の営為は、メイリッシュ2号店ある限り、・・・もう修辞のネタが尽きちまったぞ!

 残念ながら「メイリッシュ2号店退店第一号」は他の人に取られてしまったので、少しく歓談した後、ゆるゆると引き揚げることになりました。せっかくクーポン券付きの広告ビラを貰ったので、有効活用しようと切断をはじめる渡辺さんとたんび氏。筆者もビリ、と破れ目を入れた途端、あることに気がついて愕然となりました。
 この広告ビラのクーポン券裏側には、いくたたかのん画伯の筆になるウェイトレスさんの絵が描いてあったのです。たかが200円の割引に目を奪われて、メイドさんの絵姿を切り刻むわけには参りません。筆者はクーポン券の使用を諦めました。しかし渡辺さんとたんび氏は委細頓着なくクーポン券を切り取っています。彼らはいにしえのギリシャ正教会や近くはタリバンのように、イコンは破壊するものと心得ているようです。どうでもいいけど、するとイスラム教徒のヲタクってのは存在不可能なんでしょうかね。
 閑話休題、いよいよ席を離れる時に、我々のいたのが厨房の出口最寄りの卓だったため、ウェイトレスさんが「ごたごたしててすみません」と謝って下さいました。実際さほど気にはならなかったし、また「その方が楽しかったです」とはさすがに言えませんでしたが(笑)。
 残念ながら籤引きは当たりませんでしたが、たんび氏が様々な大記録を打ち立てるという革命的大勝利を獲得して、我々はメイリッシュ2号店を去りました。以後筆者はたんび氏に「メイリッシュ2号店のバージンを蹂躪し尽くした男」という称号を捧げたいと思います。

 さて、まだ時間は午後一時を回ったころ、このまま解散というのもどうかという刻限で、またこの日はたんび氏が自動車で吉祥寺に駆けつけていましたので、機械化移動でかなりの行動範囲を巡ることができそうです。それならば、とたんび氏の運転する車は青梅街道を西へひた走り、「馬車道」花小金井店に到着したのでした。
 筆者も馬車道はずいぶんご無沙汰していたもので、久方ぶりの袴姿も目にあでやかで、コーヒーの味も格別でしたが、たんび氏は我々のテーブルに注文を取りに来たウェイトレスさんに「35点」などと冷酷な評価を下していたのでした。
 この店内で我々は事後の行動について討議しました。最近さいたま(2ちゃん用語)に惚れ込んでいるたんび氏は、埼玉県名物であるところの馬車道を梯子して制覇することを主張します。それにしても、馬車道の内装を見るにつけ思うことがありますが、これは『世界の駄っ作機』の中で岡部ださく氏が言うのと同じニュアンスで、「埼玉県」な気がしてなりません。つまりですね、岡部氏はある有名な飛行機にどこか似ていて、だけど今一つかっこよくなくて、性能でもスカタンに終わってしまった無名の駄作飛行機をそう呼ばれるんですね。たとえばドイツ軍のBf110に似たソ連の駄目飛行機を「埼玉県で作ったBf110」とか書いておられますね。いや何が言いたいのかって? だからまあ、そういうことですよ。「埼玉県で作った明治浪漫」・・・あ、筆者は日本近代史専門ということになっていますんで。
 閑話休題、しかしここで渡辺さんが「今日はメイドさんの日なんだからそちらに行くべき」と主張して、筆者もそれに賛同し、横浜は関内に最近オープンしたと聞くメイド喫茶「かふぇ・あるふぁいん」を調査に行くことと相成りました。ついでに近所にある「横濱カレーミュージアム」にも行こうという算段です。

 そこから長い自動車移動が始まりました。どうもメイリッシュでたんび氏が運を使い果たしていたらしく、交通事情では運に恵まれません。前をバスに塞がれたり、踏切で大渋滞にあったり、いっかな進みません。無聊を紛らわすべく音楽などかけます。渡辺さん特別編集テープを流したところ、渡辺さんがこよなく愛するゲーム「アイドルプロジェクト」関連の楽曲や中川亜紀子さんの歌が流れていたころは平穏でしたが、「シ○タープリ○セス」のキャラクターソングになると、こと音楽には深い造詣を持つたんび氏が「こんな歌を聴かせるのは拷問だ」といってテープを止めてしまいました。
 そんなこんなの間にも自動車は小金井街道を南下し、中央線の踏切を越え、府中の競馬場を横目に見て、是政橋を渡り、鶴川街道に出て、横浜市に入りました。そこで一旦休憩。なんとなれば、筆者宅がその附近にあるためで、「かふぇ・あるふぁいん」の所在地情報を収集しようというわけです。・・・泥縄だな。
 カオスと化し、文字通り足の踏み場がない(三人が座ることができない)筆者の部屋のコンピュータで「かふぇ・あるふぁいん」のサイトを見ます。ここで念のためマピオンでも位置を確認。
「なるほど、朝鮮銀行の並びなのか? 時節柄不穏だな」
 この思い込みがあとで飛んだことに・・・ま、それはともかく。
 目的が済んだところで再出発。たんび氏はついでに筆者の蔵書中からモネスティエの『児童虐待全書』、ナヲコ『DIFFERENT VIEW』、Jさいろー『SWEET SWEET SISTER』(挿絵ナヲコ)を嬉しそうに借りていきました。ちなみに筆者所蔵の『SWEET SWEET SISTER』はナヲコ・さいろー両氏の直筆サイン入りだったりします。渋谷のまんがの森で偶然入手した逸品です。筆者はナヲコ氏のファンなもので、『DIFFERENT VIEW』に「初期の作品の人物名にはある都市の地名を使っている」との記述があるのを読んで、地図を調べてその都市を特定したくらいには入れ込んでいます(まあ「苗穂」という時点で、鉄道趣味者は見当がつくのですが)。
 時間をすっかり食ってしまいました。スピードアップのため第三京浜を利用、ここでも料金所の渋滞(並んでいた列がいきなり閉鎖)に悩まされつつ、金港ジャンクションを経て横浜公園出口で降りればそこはもう関内です。最新鋭っぽい装置を備えた公営? 駐車場に車を預け、既に日も暮れた夜の横浜に繰り出します。

 根岸線と京浜急行に挟まれたこのあたりは、昔からの横浜の繁華街であり、夜の賑わいの盛んな地でもあります。この辺は、敗戦後まもないころなど、住民の大部分がヒロポン中毒で残りはヒロポンの売人だなどといわれた繁華の地であり、その伝統は脈々と受け継がれているようです。ちょうど時刻柄、タクシーが狭い路地を走ってきて停まったかと思うと、車内からいかにもお水系の女性が登場、というシーンを何度も目にする羽目になりました。民族も多岐に渡っているようです。我々のような人間まで、客引きが声をかけています。もうちょっと人を見る眼を養った方がいいでしょう。
 などという観察をつらつら書き連ねたのは、いっかな「かふぇ・あるふぁいん」が発見できなかったからに他なりません。道自体は碁盤の目でそれほど分かりにくくはないのですが、目標と思っていた朝鮮銀行が見つかりません。そういえば朝鮮系金融機関は、目下再編と合併の嵐だったような・・・時節柄ですね。近所に「あるぱいん」というレストランを発見した時は、これは何か関係があるのか? と首を捻りましたが、よくわかりません。
 一旦松坂屋まで行き、そこから地図の記憶を頼りに道を辿ります。・・・キターーーーーーー!!!
 いささか老朽化の兆しも見えるビルの二階です。あまり人気のない感じがしますが、同じビルに入っている店は、みんなお水系みたいだな・・・。会社勤めで接待慣れしているたんび氏を先頭に押し立て突入します。コスカとかのポスターが階段に張ってあって、場違いな感じが面白くもあります。ここは秋葉原ではないから。
 ドアを開けると、ドアについているベルというか鳴子が鳴り響きます。かなりの音響でぎょっとなりました。メイドさん登場。
 ギャルゲー調(18歳以上推奨)そのもののコスチュームです。無茶苦茶ミニスカート。これでもかというフリフリ。胸元開きまくり。手首の飾りが特に強くコスプレっぽさをアピールしています。ウェイトレスさんは二名。衣裳の意匠は似ていますが、色がでした。この色の派手さもますますもってアニメやゲーム的です。
 店内はかなり暗めの照明です。飾付けはやたらと派手で、一角にはステージ(撮影所?)までしつらえられています。もっとも、飾付けのコンセプトはちょっと分かりかねましたが。テーブルとソファが壁に沿って並んでいますが、その壁が全部鏡なのが目を引きます。ホストクラブだったのではと、たんび氏が説を述べます。ありそうな話です。他に二組ばかり、もちろん男の客がおりました。
 ソファに御輿を据えます。包装紙に包まれたキャンディーの化物みたいな四角いクッションが面白いところです。しかしソファもテーブルもちょっと低すぎやしないかな。・・・ウェイトレスさんが来て理由が分かった気がしました。なにせミニスカートですから、そりゃもう
 この後カレーミュージアム探訪予定なので、食品はパスしてお茶にコーヒーの類を注文。ここでもバレンタインデーということでチョコレートのサービス。お約束とは言え、有り難く頂きます。・・・持って帰って、メイリッシュのチョコレートと並べて写真を撮れば良かったと気づいた時は、既に胃の腑に収まった後でした。
 我々がマターリ歓談している横で、別な客がウェイトレスさんと写真など撮っています。また、一人で来店してきた別の客は、常連らしくウェイトレスさんと親しげに話をしています。・・・コスプレがどうとか撮影会がどうとか、どうやらそっち系の話題のようでした。その様子を横目で見ていて、筆者はあることに気がつきました。「かふぇ・あるふぁいん」のコスチュームがヴィジュアル最優先で機能性をかなり埒外に置いていることは先述の通りですが、そのせいか立ち話をしているウェイトレスさんの肩にかかっている、フリルいっぱいの肩紐が頻々とずれ落ちます。その度に、半ば反射的にウェイトレスさんがそれを引っ張りあげる仕草が、なにか面白く感じられました。
 我々の感想としては、やはりこのお店は風俗っぽさを感じてしまいがちでした。テープルごとにシスプリのトレカが張ってあったり、壁にもポスターがあったりして、そっち系の演出も試みてはいるのですが、やはり元の店の名残というか、さらには街の空気みたいなものも影響しているのだと思います。お店というのは存在する地域と無縁ではありません。だからこの伊勢佐木町界隈にある限り、こういう妖しい雰囲気(嫌いではないですが)は有りつづけるでしょう。したがってそれを生かしたような演出が、きっとこれから目指すべき方向となるのではないでしょうか。もし秋葉原に引っ越したら、当然また話は変わってくるわけです。だから、この店をキュアメイドやメイリッシュ(1号店)のような視線で見るのは、多分的外れなのではないかと思います。
 それをいえば、吉祥寺のメイリッシュはどうなんでしょう? 吉祥寺は元赤線だから伊勢佐木町に対抗して・・・いや、それは昔の話か。今はオシャレ系? そっちはよく分かりません(苦笑)。秋葉原系に対抗するジブリ系というのであれば、少なくとも、経営的には明るい展望を望めるかもしれません。

 真面目な締めらしいものを書いてしまいましたね。ここらで「かふぇ・あるふぁいん」と別れることにしましょう。レジの横にルーベンスっぽい絵が(場違いに)掲げてあって、おそらく壁に固定されていて外せないまま前の店から受け継いだのでしょうが、「ますますホストクラブっぽいな」とはたんび氏の言。レジのウェイトレスさんが「今日は事情があって、メイドが少なくてすみません」との由でしたが、後でサイトを見たら、インフルエンザでお休みの方がいたようです。それにしても、今日は二回もウェイトレスさんに謝られてしまいました。
 またも派手な音の鳴子に見送られて店を出たら、隣の店のホステスと思しき韓国人女性(携帯電話の会話から判断)と鉢合わせして微妙に気まずいような。
 さて次はカレーで腹ごしらえするか、と今度は勝手知ったるカレミューへ行ってみたら、建物の壁にでかい垂れ幕が下がっていました。
『横濱カレーミュージアムは改装のため休業中 3/20オープン予定』
 きれいに落ちがついてしまったので、このレポも終わりにします。
 カレーミュージアムが再開店したら、「かふぇ・あるふぁいん」ともども、また見にやってきましょう。

(墨東公安委員会さんからの寄稿です)


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